ムーミン 主題歌・オープニングテーマ曲

テレビアニメ「世界名作劇場」/歌:藤田淑子ほか

「ねえムーミン こっち向いて」が歌い出しのアニメ主題歌『ねえ! ムーミン』は、 1972年に放送された「カルピスまんが劇場」(のちの「世界名作劇場」)シリーズの「ムーミン」オープニングテーマ曲。歌は藤田淑子。

作詞は、アニメ「忍者ハットリくん」、「ひみつのアッコちゃん」主題歌の歌詞を手掛けた小説家・放送作家の井上ひさし。作曲は、「一休さん」オープニング・エンディング曲、「ひょっこりひょうたん島」主題歌を作曲した宇野誠一郎。

1969年に放送された「ムーミン」主題歌も1972年版『ねえ! ムーミン』と同じ曲だが、タイトルは『ムーミンのテーマ』。歌は藤田淑子、松島みのり、玉川さきこ、堀江美都子など、レコード会社の思惑により、短期間に複数の女性歌手により同じ主題歌のレコードが発売された。玉川版は1970年の第12回日本レコード大賞において童謡賞を受賞している。

可愛いデザインに原作者トーベ・ヤンソン激怒

フィンランドの作家トーベ・ヤンソン原作の「ムーミン」が日本で初めてアニメ化された際、キャラクターは日本向けに丸っこく可愛いデザインが採用された。

これは原作の挿絵に描かれていたシャープなムーミンとは大きく異なるデザインであり、原作者のトーベ・ヤンソンは怒りをあらわにした。

怒りを少しでも鎮めようと、1969年版の第27話では、ムーミンの耳をとがらせたり顔つきを変えるなど、原作の挿絵寄りのキャラクターデザインに変更したが、これでも原作者の理解は全く得られなかった。

視聴者からは突然のデザイン改悪に対して苦情や投書が相次いだ。事態を収拾するため、「日本国内でのみ放送する」という条件の下に、以前のデザインに戻すことが認められた。

再放送もDVD化も一切禁止に

ムーミンのデザインを巡る騒動は、やがて決定的な決裂の時を迎える。1990年、原作者トーベ・ヤンソン自身と弟ラルス・ヤンソン(愛称:ラッセ)がアニメ制作段階から直接関わる形で制作された新たなアニメ「楽しいムーミン一家」シリーズがテレビ東京で放送開始された。

すると、原作者の怒りを買った旧ムーミンについては、日本国内での再放送が事実上一切禁止されるとともに、DVDやBlu-ray Discなどのソフト化も事実上一切禁止され、旧作ムーミンの存在自体がこの世からほぼ完全に抹殺されかねない事態となった。

再放送やDVD化が契約上ではっきりと明文で禁止されているのかは不明だが、少なくともそれらが完全に「自粛」されているのは間違いない事実だ。

子供たちに愛されたキャラクターやアニメーションが大人の事情で手の届かないほどの遠くに行ってしまうのは、何とも言えない寂しさと物悲しさ・やりきれなさがある。

子供に夢を与える児童文学作家が、意図せず結果的にせよ、子供の夢を壊しかねない言動を引き起こしてしまっていたとしたら、仮にそうだとしたら、何とも皮肉で寂しい話である。