NHKラジオ深夜便 テーマ曲の原曲は洋楽?
『THE CHANCE YOU TAKE』

夜明けは恋の終わり「夜明けなんて来なければいいのに」

「ラジオ深夜便」は、1990年4月から深夜に放送されているNHKラジオ番組。夜の静けさの中で大人がゆっくりとラジオを聴ける静かな番組として長年親しまれている。

進行役を務めるアナウンサー(アンカー)は、原則としてはNHKを退職したOB・OGやベテランアナウンサーが毎日日替わりで担当する。

午前3時台には、「にっぽんの歌こころの歌」と題して、「思い出の流行歌」、「懐かしのラジオ歌謡」、「青春の歌・思い出のフォーク&ポップス」など、主に昭和期の懐かしい音楽が流され、「ラジオ深夜便」における人気コーナーとなっている。

テーマ曲にはちゃんと曲名があった

「ラジオ深夜便」と言えば、番組を象徴する穏やかなテーマ曲の存在が欠かせない。深夜のリラックスした雰囲気を演出する優しくゆったりとしたメロディは、同ラジオ番組を語るうえで欠かすことのできない大きな存在となっている。

このテーマ曲についてネットで調べてみると、『THE CHANCE YOU TAKE』(ザ・チャンス・ユー・テイク)という横文字の曲名を確認できた。音楽のみで歌のないインストゥルメンタルの楽曲ではあるが、ちゃんと英語の曲名までつけているとは流石NHKだなと感じる一方で、その英語タイトルの意味に若干の違和感を覚えた。

もし「ラジオ深夜便」のために新たに書き下ろされた曲なのであれば、深夜ラジオ番組向けの楽曲として、明示的または目次的に、ある程度関連性のある曲名をつけることが多いと思われるが、この『THE CHANCE YOU TAKE』という曲名には、ほとんどその関係性を見いだせなかった。

原曲があった?しかもは歌詞つきの洋楽?

これは変だとさらに調べてみると、作曲者として「R.WEBB」、「N.NEWELL」という海外の人名が見つかった。これはどうやら「Roger Webb(ロジャーウェッブ)」と「Norman Newell(ノーマン・ニューウェル)」というイギリスの音楽家であることが判明した。

さらに掘り下げていくと、『THE CHANCE YOU TAKE』は元々英語の歌詞がつけられたイギリスの歌謡曲である可能性が高いことが分かってきた。すなわち、「ラジオ深夜便」テーマ曲には原曲の洋楽があり、それを演奏のみのアレンジで輸入して日本のラジオ番組で使用したということが考えられるのだ。

歌詞の内容は? うつろう愛の定め

さて、歌詞があることが判明した『THE CHANCE YOU TAKE』だが、さっそくその内容を確認しようと、再度ネットで検索をかけてみたが、これがなかなか見つからない。仕方がないので今度はYouTubeで動画がないかと曲名で探したところ、ズバリの原曲らしき動画に偶然めぐり合うことができた。

さっそく動画で原曲を一通り聞いてみると、どうやらこの曲は「愛」をテーマにした曲であることが判明した。愛と言ってもいろいろな切り口や表現があるが、『THE CHANCE YOU TAKE』では、愛の移ろいを嘆きつつもそれは定めであり、夜と朝が必ず巡ってくるように、すべて等しくめぐり合わせ(chance)であると穏やかに歌い上げる内容となっている。

愛のうつろいを夜と朝の移り変わりに例えている歌だけあって、歌詞には「夜」、「今夜」、「夜明け」といったキーワードが頻繁に登場する。深夜ラジオ番組であるNHK「ラジオ深夜便」のテーマ曲として歌つきで採用していたとしても、ちゃんと関連性のあるピッタリの内容であったようだ。

ただ、歌詞の内容はちょっと切ない。男性視点から書かれた曲のようだが、「夜明け=恋の終わり」と例えたうえで、サビで「夜明けなんて来なければいいのに」と嘆く部分が切ないメロディ進行とともに歌い上げられる。『THE CHANCE YOU TAKE』は、胸を締め付けられるような愛の人生哲学ソングだったのだ。

楽譜は?原曲のCDは?

「ラジオ深夜便」テーマ曲としてメロディだけ聞いてもいい曲だが、歌詞つきの原曲『THE CHANCE YOU TAKE』も意外に深い内容のしっとりとした大人の曲だった。

同曲(原曲)を収録した楽譜やCDが出版されていないかとネットで探してみたが、不思議なことにこれがなかなか見つからない。NHKラジオから流れるアレンジ盤(インストゥルメンタル)のCDはNHKからいくつか発売されているようだが、原曲に関しては日本国内ではCDリリースはされていないようだった。

メロディとしては認知度も高く、楽譜やCDへの日本国内のニーズもある程度期待できるとは思われるが、やはり何らかの大きなきっかけがなければビジネス的には成り立ちにくいのだろうか。原曲もしっとりとした大人のラブソングで、是非後世にも歌い継がれて欲しい良曲であるだけに、あまり注目されないのが非常に残念だ。

【試聴】テーマ曲『THE CHANCE YOU TAKE』